Case Report

重症急性運動性軸索型ニューロパチーに対する下肢装具と免荷式歩行器を用いた歩行練習の実践:症例報告

吉川大志,高島明美
Jpn J Compr Rehabil Sci 14: 49-53, 2023

【はじめに】急性運動性軸索型ニューロパチー(AMAN)は自立歩行獲得までの期間が長く,発症早期からの積極的な歩行リハビリテーションが必要である.今回,重症AMAN例に対する下肢装具と免荷式歩行器を併用した歩行練習の経過について報告する.
【症例】30歳代男性,AMANと診断され,2度の免疫グロブリン大量静注療法とステロイドパルスの併用療法を受けた.第87病日に回復期リハビリテーション病棟に入棟し,筋力はMedical research council(MRC)scoreで7点,FIM運動項目は13点であった.第128病日より長下肢装具を用いた歩行練習を開始した.その後,下肢装具と免荷式歩行器を使用し歩行練習距離を増加した.退院時にはMRC score が24点,FIM 運動項目は31点に向上した.短下肢装具と前腕支持型歩行器を使用し90 mの歩行が可能となり,第237病日にリハビリテーション施設に転院した.
【考察】重症AMAN例に対して下肢装具と免荷式歩行器を併用した歩行練習を行った結果,有害事象が起こることなく歩行練習距離が増加した.重症例でも歩行能力の改善が見込まれる場合は,下肢装具と免荷式歩行器を併用することで安全かつ積極的に歩行練習を実践できる.

【キーワード】:急性運動性軸索型ニューロパチー,長下肢装具,短下肢装具,地上免荷歩行練習

第14巻 目次