Systematic Review

パーキンソン病患者の基本動作における評価尺度:臨床的特性と実行可能性に関する体系的レビュー

谷口星来,山本安里子
Jpn J Compr Rehabil Sci 14: 16-25, 2023

【目的】本研究は,パーキンソン病患者の基本動作の評価尺度である「改訂版パーキンソン病アクティビティ・スケール(以下,M-PAS)」ならびに「リンドップパーキンソン病モビリティ・アセスメント(以下,LPA)」の臨床的特性および実行可能性を,文献レビューによって明らかにし,臨床使用における留意点を考察することを目的として実施した.
【方法】PRISMAガイドライン(Preferred Reporting Items for Systematic Reviews and Meta-Analyses guidelines)に準じ,体系的レビューを実施した.バイアスリスクの判定を併せて実施した.
【結果】最終的に11編の文献が取り込まれ,このうち5編(45 %)はM-PAS,5編(45%)はLPA,1編(10%)はM-PASおよびLPAに関する文献であった.アセスメントを実施した全ての文献において,バイアスは低リスクと判定された.
【結論】M-PASおよびLPAは十分な信頼性,妥当性が示され,介入効果を検出する反応性が検証されていた.M-PASは詳細性が高い,天井効果を示さない,PDの非専門家でも使用ができるなどの強みがあるが,日常的な臨床使用には時間がかかる.一方,簡便性が高いLPAは,評価時間の制約が厳しい状況に適しており,PD患者と評価者双方にとって負担の軽減 につながると考えられた.今後,新たなリソースを追加するための追加研究が必要である.

【キーワード】:文献研究,パーキンソン病,基本動作,評価尺度,改訂版パーキンソン病アクティビティ・スケール(M-PAS),リンドップパーキンソン病モビリティ・アセスメント(LPA)

第14巻 目次