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亜急性期入院高齢脳卒中患者におけるリハビリテーション時間とFunctional gainとの関連

五十嵐達也,林 翔太,小川嘉壱,松井信也,西松輝高
Jpn J Compr Rehabil Sci 13: 56-63, 2022

【目的】リハビリテーション時間と機能的利得との関連を検証した報告はあるが,運動麻痺の重症度や併存疾患などの背景因子を十分に考慮できている報告は少ない.本研究の目的は,亜急性期入院高齢脳卒中患者を対象に,リハビリテーション時間と機能的利得との関係を縦断的に検討することであった.
【方法】Functional Independence Measure(FIM)の結果から機能的利得(FIM gain)とFIMの天井効果の影響を受けにくくした指標であるFIM effectivenessを算出した.複数の共変量で調整し,1日の平均リハビリテーション時間とFIM gain,FIM effectivenessについて重回帰分析を行った.
【結果】298名(平均年齢78.1±8.1歳,女性112名)の脳卒中患者が登録された.合計のFIM gainは31.6±22.5点,FIM effectivenessは54.4±35.2%であった.平均リハビリテーション時間とFIM gain(β=0.29, p<0.01),FIM effectiveness(β=0.22, p<0.01)はそれぞれ関連していた.
【結論】脳卒中後の予後は若年者より高齢者で不良とされているが,本研究の結果,亜急性期入院高齢脳卒中患者においても日々のリハビリテーション時間を増やすことで機能状態の改善に寄与する可能性が示唆された.

【キーワード】:機能的制限,脳卒中,急性期,リハビリテーション,機能回復

第13巻 目次