Original Article

歩行練習支援ロボットを用いた歩行訓練が脳卒中片麻痺患者の下肢振り出し戦略に及ぼす影響―即時効果に着目した予備的研究―

藤井 廉,玉利 誠,野中裕樹,田宮史章,細川 浩,田中慎一郎
Jpn J Compr Rehabil Sci 13: 49-55, 2022

【目的】麻痺側の膝関節運動や下肢振り出しのアシストを主とする歩行練習支援ロボットを用いた歩行訓練が,トレッドミル歩行における麻痺側下肢のToeclearance に及ぼす影響を分析すること.
【方法】対象は,回復期脳卒中片麻痺患者10名とした.介入方法は,Welwalk WW-1000"R"(以下,Welwalk"R")を用いた歩行訓練を40分間実施した.介入直前と介入直後で三次元動作解析装置を用いたトレッドミル歩行の歩行評価を行った.分析は,麻痺側下肢の足部-床面距離,Shortening of hip-toe length(以下,SHTL)を介入前後で比較するとともに,介入前後における麻痺側の下肢関節の運動学的変化との関連性を調べた.
【結果】介入前と比較して,介入後のSHTLにのみ有意な低値を認めた.また,介入前後におけるSHTLと膝関節屈曲角度に有意な負の相関を認めた.
【結語】Welwalk"R"による歩行訓練は,より正常に近い下肢振り出し戦略の獲得に寄与しうると考えられた.

【キーワード】:歩行練習支援ロボットWelwalk"R",脳卒中片麻痺患者,Toe clearance,Shortening of hip-toe length(SHTL),歩行訓練

第13巻 目次