大坪博子,岸本桂子,平野偉与,中野 仁,板谷一宏,熊木良太,大隅寛之
Jpn J Compr Rehabil Sci 13: 4-11, 2022
【目的】運動FIMに影響する認知機能障害と睡眠薬との関係性を検討する.
【方法】回復期リハビリテーション病棟を退院した65歳以上の患者509名を対象とした後方視的研究である.
【結果】運動FIM効率と運動FIM effectiveness(運動FIM-e)をアウトカムとして,認知機能障害有無別に重回帰分析を実施した.認知機能障害患者における睡眠薬の使用は運動FIM効率(β=0.147,P=0.019)と運動FIM-e(β=0.141,P=0.026)と正の関係があった.さらに睡眠薬を新機序,非ベンゾジアゼピン(BZ)系,BZ系の系統別に分類し重回帰分析を実施した.運動FIM効率と正の関係にあるのは非BZ系(β=0.141,P=0.021),運動FIM-eと正の関係があるのは非BZ系(β=0.158,P=0.009) とBZ系(β
=0.178,P=0.003)であるが,新機序睡眠薬では有意な関係性は示されなかった.一方,認知機能障害のない患者ではいずれの睡眠薬とも関連性はみられなかった.
【結論】認知機能障害患者に対する睡眠薬使用は,運動FIM効率や運動FIM-eを高める可能性が示唆された.
【キーワード】:回リハ病棟,運動FIM,認知機能,睡眠薬