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新たな視線追跡システムを用いた失語症検査(聴覚的理解領域)の健常人における検討

境 梨沙,小池康晴,斉藤公男,松永俊樹,島田洋一,宮腰尚久
Jpn J Compr Rehabil Sci 13: 31-35, 2022

【目的】新たに開発した視線追跡システムを用いて日本語を母国語とする健常成人を対象に失語症検査の聴覚的理解項目について評価し,従来のポインティング方式評価と比較検討すること.
【方法】対象は健常人10名で,失語症検査(SLTA,WAB,SLTA 補助検査)から聴覚的理解項目の検査を視線追跡システムとポインティング方式で実施した.
【結果】平均検査時間は9分51秒±1分41秒(mean±SD)で,正答率はポインティング方式・視線追跡システムともに100%かつ完全に一致していた.回答終了時間はポインティング方式平均0.96±0.36秒,視線追跡システム平均−0.39±0.21秒で後者のほうが早く,かつ問題文を最後まで聞き終わる前に回答選択を終了していた.
【結論】新しい視線追跡システムにより従来のポインティング方式と同等の失語症検査(聴覚的理解項目)が実施可能である.

【キーワード】:視線追跡,失語症,標準失語症検査,Western Aphasia Battery,feasibility study

第13巻 目次