本谷竜太郎,山本澄子,直江 緑,谷口瑠美,河原 梓,岩田拓也
Jpn J Compr Rehabil Sci 12: 70-77, 2021
【目的】三次元トレッドミル歩行分析による異常歩行の定量的指標を用いて脳卒中片麻痺患者における10種類の異常歩行パターンの分類を試みること.
【方法】対象者90名における異常歩行10種類の定量的指標である各偏差値を用いて主成分分析を行った.異常歩行10種類の第1・第2主成分の因子負荷量を散布図に示し,その位置関係から異常歩行のパターンの分類を行った.
【結果】遊脚期の膝屈曲不全と骨盤挙上と反対側への体幹側方移動の遊脚期における異常歩行パターン,遊脚期の分回し歩行に加えた立脚期の前足部接地に伴う急激な膝関節の伸展パターン,立脚期の内側ホイップ・遊脚期の外旋歩行に加えた骨盤後退に伴う膝屈曲位歩行パターンに分類できる可能性が考えられた.
【考察】主成分分析により,異常歩行10種類の定量的指標結果の持つ情報が,いくつかの異常歩行パターンに圧縮され,これらの結果を臨床現場に活用することができれば,観察による歩行分析の精度向上に寄与できると考えられた.
【キーワード】:片麻痺,異常歩行,歩行分析,三次元動作解析,主成分分析