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脳卒中片麻痺患者の下腿三頭筋の痙縮が最大速度歩行練習後の歩行速度に及ぼす影響

山田辰樹,大田瑞穂,玉利 誠
Jpn J Compr Rehabil Sci 12: 64-69, 2021

【目的】片麻痺患者における下腿三頭筋の痙縮が最大速度歩行練習後の歩行速度に及ぼす影響を検討すること.
【方法】片麻痺患者23名を下腿三頭筋の痙縮の有無から,痙縮あり群13名と痙縮なし群10名に分類を行い,各群に最大速度歩行練習を実施し,介入の前後で三次元動作解析装置を用いて,快適速度歩行の計測を行った.抽出データは歩行速度,麻痺側前遊脚期の推進力と足関節底屈モーメント,麻痺側立脚期における足関節背屈角度と足関節背屈角速度,麻痺側立脚後期におけるTrailing Limb Angleと足関節底屈角度,足関節最大背屈位になるタイミングとした.
【結果】痙縮あり群はすべての指標に有意な改善が認められなかった.一方,痙縮なし群は麻痺側足関節最大背屈角度以外のすべての指標で有意な改善が認められた.
【考察】最大速度歩行練習を実施することで痙縮なし群の歩行速度が即時的に向上する可能性が示唆された.

【キーワード】:脳卒中,最大速度歩行練習,痙縮

第12巻 目次