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脳損傷による複視を伴う外眼筋麻痺とFIM運動項目との関連:ケースコントロール研究

渡部喬之,阿部真理奈,迫力太郎,鈴木久義,依田光正,川手信行
Jpn J Compr Rehabil Sci 12: 58-63, 2021

【目的】本研究は,脳損傷による複視を伴う外眼筋麻痺の有無とFIM運動項目との関連を,ケースコントロール研究にて明らかにすることを目的とした.
【方法】対象者は,回復期リハビリテーション病棟に入棟しており,監視歩行が可能,知的機能が保たれている等の条件を満たした脳損傷者とした.外眼筋麻痺群の斜視角と,FIM運動項目合計点との相関を検討した.また,外眼筋麻痺群,コントロール群の間で合計点,細項目の点数を統計処理にて比較した.
【結果】対象者は78名(外眼筋麻痺群34名,コントロール群44名)であった.外眼筋麻痺群の斜視角とFIM運動項目合計点は有意に負の相関を認めた.外眼筋麻痺を有する者は無い者に比べ,清拭,更衣(下),トイレ,ベッド移乗,トイレ移乗,浴槽移乗,移動(歩行)の自立度が有意に低かった.
【結論】複視を伴う外眼筋麻痺は,FIM運動項目と関連がある.

【キーワード】:外眼筋麻痺,脳損傷,FIM,回復期リハビリテーション病棟

第12巻 目次