Case Report

回復期リハビリテーションで下肢装具療法を中心とした歩行訓練により歩行能力を再獲得した重症ギラン・バレー症候群の1例

田中 碧,和田義敬,川手信行
Jpn J Compr Rehabil Sci 12: 48-52, 2021

【はじめに】回復期リハビリテーション病棟入院時に歩行全介助であったが,歩行能力を再獲得した重症ギラン・バレー症候群(GBS)例を経験した.特に,下肢筋力向上に合わせて長下肢装具・短下肢装具を調整した歩行訓練が歩行能力改善に寄与したと示唆されたため報告する.
【症例】20代女性.前医でGBSと診断され,第57病日に当院回復期リハビリテーション病棟に転院した.当院入院時下肢筋力MMT1,FIM運動項目合計(mFIM)13点であった.Tilt tableと長下肢装具を用いた立位訓練から開始した.入院9週目より調整機能付き後方平板支柱型短下肢装具で歩行訓練を行い,筋力の回復に合わせ足関節を固定・制動・制限・遊動と調整した.退院時は,補助具・装具無しで歩行自立,mFIM91点と改善した.退院2ヶ月後に仕事に復帰した.
【考察】回復期リハビリテーションで重症GBS患者に下肢装具療法を用いた立位・歩行訓練は,歩行能力の改善に寄与したと示唆された.重症GBS患者に対して医学的管理と高強度のリハビリテーションによる回復期リハビリテーションは重要である.

【キーワード】:ギラン・バレー症候群,回復期リハビリテーション,下肢装具療法,歩行訓練

第12巻 目次