Brief Report

脳卒中患者の歩行訓練における膝伸展補助具付き長下肢装具の効果

村山 稔
Jpn J Compr Rehabil Sci 12: 32-37, 2021

【目的】重度下肢麻痺脳卒中患者の歩行訓練において,われわれが考案した膝伸展補助具付き長下肢装具の効果を検討する.
【方法】長下肢装具を処方された回復期脳卒中患者7名を対象に,長下肢装具の膝継手を屈曲遊動の設定において膝伸展補助具と一般的な介助ループを使用した介助歩行時の膝関節屈曲角度と下肢の筋活動および足底の接地時点を計測した.
【結果】膝伸展補助具の使用開始時の歩行では,介助ループの使用と比較して有意に初期接地の膝関節屈曲角度が減少し,麻痺側の踵が接地してから前足部が接地するまでの時間が延長した.膝伸展補助具の使用開始1週間後では,前記の2項目に加えて有意に遊脚期の膝関節最大屈曲角度と最大屈曲角度から初期接地までの伸展方向への変位量および遊脚期の大腿二頭筋の筋活動比が増加した.
【結論】遊脚終期に膝関節の過度な屈曲により踵からの初期接地が困難な症例に対して,膝伸展補助具は適応になると考えられる.

【キーワード】:脳卒中,回復期,膝関節伸展補助,弾性ストラップ,長下肢装具

第12巻 目次