Case Report

慢性疼痛に対して簡便な身体イメージ評価と操作を行い有効性が認められた症例

新井伸征,吉村 学,山本五弥子,阿部泰昌,花山耕三
Jpn J Compr Rehabil Sci 12: 15-18, 2021

【はじめに】簡便な身体イメージ評価法を考案し,その結果を基にして身体イメージ操作を行い,慢性疼痛が軽減した症例を経験したので報告する.
【症例】患者は60代の男性で仕事中にローラーに誤って挟まれ当院で左尺骨骨幹部骨折,左手デグロービング損傷と診断され,作業療法を約2年間継続していたが環指に異痛(アロディニア)が残存していたため更衣動作や自動車運転動作に困難を生じていた.身体イメージを左右の環指で比較し,左右の身体イメージができるだけ同一になるように包帯を用いて身体イメージの操作を行った.その結果,アロディニアは軽減し(VAS10 cm → 3.6 cm),更衣動作や自動車運転動作能力が改善した.
【考察】包帯を巻くことで大きさ・重さ・長さ・太さ・厚さの触覚および視覚への情報入力が変化し,知覚-運動ループが再構成されたと考えられた.

【キーワード】:慢性疼痛,身体イメージ操作,身体イメージ評価,QOL

第12巻 目次