杉岡純平，鈴村彰太，川原靖弘，大沢愛子，前田夏海，伊藤美里，長濵大志，久野克己，白本健太，木塚汐里，水口寛彦，佐野佑子，神鳥明彦，近藤和泉
Jpn J Compr Rehabil Sci 11: 91-97, 2020
【目的】磁気センサ型指タップ装置（UB-2，マクセル株式会社）を用いて，アルツハイマー型認知症（Alzheimer's Disease: AD），軽度認知障害（Mild
Cognitive Impairment: MCI），健常高齢者間の指タップ動作における手指運動特徴の差および認知機能との関連を検討すること．
【方法】指タップ運動を計測し，パラメータの各群の平均値を多重比較にて分析した．認知機能評価は，Mini-Mental State Examination（MMSE）を実施し，パラメータとMMSEとの関連はSpearmanの順位相関係数を用いて分析した．
【結果】総移動距離，接触時間の標準偏差，タップインターバルの標準偏差，位相差の標準偏差で有意差を認めた．MMSEとの関連については，左手の接触時間の標準偏差で弱い負の相関を認めた（r＝－0.28，p＜0.05）．また，総移動距離において，左手（r＝ 0.3，p＜0.05），右手（r＝ 0.25，p＜0.05），両手同時動作課題の右手（r＝ 0.28，p＜0.05）で，弱い正の相関を認めた．
【結論】これらのパラメータがADやMCIにおける手指運動特徴である可能性が示唆された．
【キーワード】アルツハイマー型認知症（AD），軽度認知機能障害（MCI），手指運動特徴，指タップ