原著

ICFリハビリテーションセットの心身機能項目における患者-医療者間の評価の一致性

千手佑樹,向野雅彦,尾関 恩,渡邉 誠,大河内由紀,水谷公司,才藤栄一,園田 茂
Jpn J Compr Rehabil Sci 11: 9-16, 2020

【目的】ICFリハビリテーションセットの心身機能項目について,患者自身による評価と採点用リファレンスガイドを用いた医療者による評価とを実施し,患者 - 医療者間の評価の一致について検討する.
【方法】入院もしくは外来リハビリテーション施行中 の88名を対象とした.9つの心身機能項目について対象患者が自己評価,医療者が採点用リファレンスガイドを用いた評価をそれぞれ行った.各項目についての患者- 医療者間の評価の一致を重み付けκ係数,合計点の一致を,級内相関係数を用いて検討した.
【結果】重み付きκ係数は,0.58‐0.87の範囲に分布 し,9項目中8項目で0.61以上の値をとった.全項目の合計値は患者医療者間に有意な差を認めず,合計値の級内相関係数は0.85であった.
【結論】採点用リファレンスガイドを用いた医療者による心身機能の評価は患者の主観評価との間に大きな乖離はなく,生活機能を記述する手段として有用であると考えられた.

【キーワード】ICF,ICFリハビリテーションセット,採点用リファレンスガイド,心身機能,信頼性

第11巻 目次