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脳卒中片麻痺患者の内反尖足に対する2回のA型ボツリヌス毒素製剤投与による最大足底接地面積の変化

和田義敬,大塚成人,川手信行,森山浩志,江連博光,井上由理子
Jpn J Compr Rehabil Sci 11: 85-90, 2020

【目的】脳卒中片麻痺患者の内反尖足に対する2回のA型ボツリヌス毒素製剤(BoNT-A)投与の定量的な治療効果を明らかにする.
【方法】2011年4月から2013年3月に当院リハビリテーション科外来で2回のBoNT-A投与(投与間隔:平均136.0(10.5)日)を行い,各投与前後にシー ト式下肢加重検査を行った慢性期脳卒中患者(くも膜下出血・再発例を除いた)8名を対象に診療録を後方視的に観察した.投与前,初回投与4週後,2回目投与4週後に麻痺側最大足底接地面積・麻痺側/ 非麻痺側最大足底接地面積比・Modified Ashworth Scale(MAS)を測定した.
【結果】麻痺側最大足底接地面積は初回投与後と2回目投与後間で有意に増加した.麻痺側/非麻痺側最大足底接地面積比は初回投与前と初回投与後間,初回投与前と2回目投与後間で有意に増加した.MASは初回投与前と初回投与後間,初回投与前と2回目投与後間で有意に軽減した.
【結論】内反尖足に対するBoNT-Aの治療効果判定に足底接地面積を用いるのは有用性が高いと示唆された.

【キーワード】痙縮,ボツリヌス療法,内反尖足,脳卒中,足底接地面積

第11巻 目次