原著

下肢筋への静的および動的ストレッチングによる漸増負荷運動時の酸素摂取量および心拍変動,筋酸素動態,筋電図周波数に及ぼす影響

氏川拓也,古我知成
Jpn J Compr Rehabil Sci 11: 59-64, 2020

【目的】運動準備段階でのウォーミングアップ(WU)として,静的(SS)もしくは動的ストレッチング(DS), 20wattsでの自転車エルゴメーター駆動(ergo)の3種類を行い,漸増負荷運動時における心肺機能と筋活動にどのような影響を与えるのかを検討した.
【方法】健常成人男性10名(20.6±0.5歳)を対象に,上記WUを行わせた後,漸増負荷運動を課し,酸素摂取量,心拍変動,筋酸素動態を連続記録した.
【結果】DSおよびergo直後では,SS直後に比べて,心拍変動から解析された交感神経活動指標,酸素摂取量,心拍出量は有意に上昇し,逆に副交感神経活動指標,筋酸素動態は有意に低下した.しかし,嫌気性代謝閾値到達時にはこれらの値に差が認めらなかった.
【結論】DSおよびergoは,運動に対する適応性を高める準備効果が示唆されたが,嫌気性代謝閾値レベルの運動時には影響を与えないことが明らかになった.

【キーワード】静的ストレッチング,動的ストレッチング,漸増負荷運動,自律神経系活動,筋活動

第11巻 目次