原著

回復期リハビリテーション病棟に入院した高齢脳卒中患者における自宅退院予測因子の検討

佐藤 謙
Jpn J Compr Rehabil Sci 11: 43-48, 2020

【目的】当院回復期リハビリテーション病棟に入院した高齢脳卒中患者において,入院時に得られた指標から自宅退院予測因子を抽出し,その予測能を評価した.
【方法】2015年4月1日から2018年7月1日まで に入院した65歳以上の高齢脳卒中患者179例を対象として,自宅退院の有無で2群に分けて入院時に得られた項目で比較を行った.また,自宅退院の有無を目的変数として,多変量解析から予測式を作成し,ROC曲線も作成した.
【結果】自宅退院は150例(84%)で見られ,2群比較では急性期入院日数,同居者数,発症時NIHSS,入院時FIM,食事形態,栄養評価の項目において有意な差が見られた.多変量解析では,急性期入院日数,同居者数,入院時FIMの項目で有意な差が認められ,ROC曲線における曲線下面積は0.891であった.
【結論】回復期リハビリテーション病棟に入院した高齢脳卒中患者において,急性期入院日数,同居者数,入院時FIMの組み合わせは自宅退院の予測因子となりうることが示された.

【キーワード】高齢者,脳卒中,自宅退院予測,回復期リハビリテーション

第11巻 目次