藤原久登,後藤慧也,東野真弓,中村彰子,田中絵里子,須永登美子,川手信行,川添和義,渡邊 徹,佐々木忠徳
Jpn J Compr Rehabil Sci 11: 21-27, 2020
【目的】脳血管の損傷部位が服薬自己管理能力に与える影響を明らかするため,左半球損傷群(L群)と右半球損傷群(R群)の服薬自己管理能力の相違を後方視的に調査した.
【方法】2011年10月から2013年3月,2016年1月から2017年12月の間に当院回復期リハビリテー
ション病棟を退院した脳血管障害患者を対象とし,L群とR群で比較を行った.
【結果】対象患者は282名であり,L群,R群ともに
141名であった.服薬自己管理達成に要した期間はL群の方がR群より長く(p=0.02),有意な差が認められた.
【考察】L群の服薬自己管理達成の遅れには,R群と異なり右片麻痺によって利き腕が障害されるため,服薬に必要な巧緻性を妨げていることが要因となったと考察する.脳血管障害患者が自ら服薬を管理できるようになるには,損傷部位に応じた服薬支援計画の立案の支援が不可欠であると考えられた.
【キーワード】服薬自己管理,脳血管障害,脳血管損傷部位,回復期リハビリテーション病棟