青木啓一郎, 井口暁洋, 渡部喬之
Jpn J Compr Rehabil Sci 11: 17-20, 2020
【目的】急性期のリハビリテーション介入後の脳卒中患者が,自宅退院可能か否かを,初期評価のFIM下位項目から明らかにすることである.
【方法】対象は2016年12月から2017年3月の間に当院で入院した脳卒中患者,退院先が自宅(n=41)もしくは転院(n=62)であった103例とし,カ
ルテ情報を後方視的に分析した.解析には,2群間の属性の比較では,Fisherの正確確率検定を用いた.また,退院先に関連する因子を抽出するため,ステップワイズ法による多重ロジスティック回帰分析を行った.
【結果】2群間の属性の比較では,浴槽・シャワー,階段以外の項目において有意差を認めた.多重ロジスティック回帰分析の結果,退院先の因子で有意な関連を認めたのは食事(p=0.001,OR: 10.956,CI: 0.638‐1.755),社会的交流(p=0.008,OR: 4.273,CI: 0.182‐1.269)であった.
【結論】脳卒中発症早期のFIM下位項目は退院先の予測になりうる因子として有意に関連することが明らかとなり,中でも「食事」,「社会的交流」が重要であることが示された.
【キーワード】急性期,脳卒中,転帰