和田真一, 長谷川幹
Jpn J Compr Rehabil Sci 10: 50-59, 2019
【目的】脳損傷による中途障害者の長期的な改善につながる主体性の回復を促す周囲のかかわり方をモデル化したい.
【方法】当事者,支援者,医療関係者,学者を含めた20名前後で18回の主体性研究会議を行った.脳損傷による中途障害者の「長期にわたる在宅生活での回復」と「主体性」に関するメンバーへの半構造化インタビューを元に,Modified Grounded Theory Approach で質的分析を行った.
【結果】分析ワークシートより生成された周囲のかかわり方の概念16個からモデルを作成した.「信頼関係を構築する」が出発点となり,「適切なレベルの課題を提案する」などの関わりを始め,「できる体験を重ねるためのサポートをする」ことなどで実体験してもらい,「体験を振り返る機会をつくり」,出発点につながるかかわり方のサイクルが形成された.
【結論】主体性回復を促すかかわり方の流れがわかり,共通したアプローチにつながり得るモデルは有用と考えられた.
【キーワード】脳卒中,脳外傷,生活期リハビリテーション,在宅リハビリテーション,主体性