原著

舌骨挙上障害を持つ摂食嚥下障害に対する反復末梢磁気刺激の実現可能性:2例報告

森 志乃, 加賀谷斉, 長島有毅, 戸田芙美, 桑原亜矢子, 増田容子, 佐藤百合子, 小川真央, 角田哲也, 赤堀遼子, 柴田斉子, 才藤栄一
Jpn J Compr Rehabil Sci 10: 42-46, 2019

【目的】舌骨挙上障害を持つ摂食嚥下障害に対する末梢磁気刺激治療の実現可能性を検討した.
【方法】2秒間の磁気刺激を30回で1セットとして1日に2〜3セット,1週間に5日以上の反復末梢磁気刺激治療(repetitive peripheral magnetic stimulation: rPMS)を6週間,舌骨挙上障害を持つ摂食嚥下障害患者2例に対して施行した.
【結果】2例ともに,6週間のrPMSを問題なく施行可能であった.82歳の誤嚥性肺炎後の廃用症候群患者ではrPMS後に筋力および舌骨挙上距離の改善を認めた.47歳の皮膚筋炎患者ではrPMS介入後に筋力および筋疲労の改善を認めた.磁気刺激後には頸部のこわばりが軽減し食事中の疲労感が軽減した.
【結論】舌骨挙上障害に対するrPMSは新しい治療法となりうる可能性がある.

【キーワード】摂食嚥下障害,舌骨挙上障害,舌骨上筋,反復末梢磁気刺激

第10巻 目次