原著

回復期リハビリテーション病棟における薬剤師業務と嚥下障害患者に対する薬剤投与の実態調査

大坪博子,岸本桂子,熊木良太,赤川圭子,倉田なおみ
Jpn J Compr Rehabil Sci 10: 108-116, 2019

【目的】回復期リハ病棟における薬剤師業務と嚥下障害患者に対する薬剤投与に関する現状調査を通して,薬剤師の役割を検討した.
【方法】回復期リハ病棟協会会員施設を対象にアンケート調査を行った.
【結果】薬剤師業務に関して,入院患者の90%以上に実施していた施設は持参薬確認88.1%,服薬指導10.5%,退院時指導35.5%であった.嚥下障害患者に関しては粉砕法や簡易懸濁法を用いてとろみ剤で投与されることが多く,91.4%の施設で嚥下障害患者の確認をしていたが,直接確認するのは26%であった. 嚥下能力評価への関与21.2%,とろみ剤の種類や名前の把握39.3%, 経管チューブの種類の把握は73.1%であった.これらの実施率は回復期リハ病棟における薬剤師の病棟滞在時間と正の関連性があった.
【結論】全国の回復期リハ病棟において,薬剤師による服薬指導や嚥下障害患者に対する関与を高めていくには,薬剤師の病棟滞在時間を長くする仕組みが有用である.

【キーワード】回復期リハ病棟,薬剤師業務,嚥下障害患者,実態調査,簡易懸濁法

第10巻 目次