岡本さやか, 園田 茂, 渡邉 誠, 岡崎英人, 八木橋恵, 奥山夕子
Jpn J Compr Rehabil Sci 9: 59-65, 2018
【目的】脳卒中片麻痺患者の入院時ADLの程度により阻害因子の影響がどう変わるかを検証した.
【方法】当院回復期リハビリテーション病棟に入院した脳卒中片麻痺患者2,650例を対象とした.退院時
FIM運動項目(FIM-M)合計点を目的変数とした決定木分析を行った.入院時FIM-M合計の各点ごとに
SIAS(Stroke Impairment Assessment Set)垂直性項目点数,年齢,FIM認知項目(FIM-C)の分布を計算した.入院時FIM-Mの範囲を区切り,体幹機能,年齢,
FIM-Cを群分けしてFIM-M利得の群間比較を行った.
【結果】退院時FIM-MやFIM-M利得は,体幹機能低下例では入院時低ADLだと有意に低かった(p<
0.05).さらに高齢(68歳以上)では比較的広範囲のADL例で有意に低く(p<0.05),また,認知機能低
下例でも中等度から重度介助を要するADL例で有意に低かった(p<0.05).
【結論】今回の結果より,阻害因子の影響は全患者に対し一律ではなく,入院時ADLの程度により異なってくることが明確になった.
【キーワード】脳卒中,リハビリテーション,ADL,帰結予測,阻害因子