原著

認知症合併が回復期リハビリテーションのFIM利得に及ぼす影響―認知症合併者へのリハ提供時の工夫―

山上徹也, 岡 光孝, 砂川直美, 小野塚由美子, 田中志子, 山口晴保, 斉藤正身
Jpn J Compr Rehabil Sci 9: 52-58, 2018

【目的】回復期リハビリテーション(以下リハ)病棟において,認知症合併の有無・重症度によるFIM利得への影響と,リハ提供時の工夫を検討する.
【方法】回復期リハ病棟患者232名を対象に認知症の有無と入退院時FIM(利得・効率),転帰を比較した.またFIM利得の大幅プラス・マイナス例の推測される要因を調査した.
【結果】認知症の有無とFIMの変化は有意な時期の主効果(F=352.4,p<0.001)と交互作用を認めた(F= 5.382,p=0.021).FIM利得・効率は,認知症あり群で有意に低いが,重症度別では,認知症なし群と認知症高齢者の日常生活自立度Uで有意差を認めなかった.FIM利得プラス要因は医学・生活管理,関わりの工夫で,マイナス要因は主疾患・合併症の増悪と推測された.
【結論】認知症に配慮した回復期リハ・ケアで,認知症があってもFIMは改善し,軽度であれば認知症なし者と同等の効果が得られる可能性が示された.

【キーワード】回復期リハビリテーション,認知症,Function Independence Measure(FIM),Activities of Daily Living(ADL)

第9巻 目次