原著

急性期における脳幹部脳血管障害の摂食嚥下障害

赤堀遼子, 加賀谷 斉, 尾関 恩, 柴田斉子, 青柳陽一郎, 小野木啓子, 才藤栄一
Jpn J Compr Rehabil Sci 9: 43-51, 2018

【目的】急性期における脳幹部脳血管障害患者の摂食嚥下障害の詳細を明らかにすること.
【方法】脳幹部脳血管障害発症から3日以内にリハ ビリテーション科を受診した207例を対象とした.入院期間の中央値は20日であり,主要な病変部位は橋168例,延髄外側25例であった.脳幹部以外の脳血管障害の既往のない症例(CVD−)167例と既往のある症例(CVD+)40例の摂食嚥下障害臨床的重症度分類(DSS),摂食状態スケール(ESS),食事形態,食事姿勢,経過中の肺炎発症,機能的自立度評価法(FIM)を後方視的に調査した.
【結果】CVD−では51%,CVD+では64%に摂食嚥下障害を認め,退院時には危険率5%でDSS,ESS,食事形態,FIMの有意な改善を得た.CVD−とCVD+間にDSS,ESS,肺炎発症に関して有意差はみられなかった.
【結論】急性期における脳幹部脳血管障害患者では,CVD+の症例においてもCVD−と同様の摂食嚥下機能改善が得られる可能性が示された.

【キーワード】脳幹部,脳血管障害,摂食嚥下障害,急性期

第9巻 目次