原著

回復期リハビリテーション病棟における脳卒中患者の摂食嚥下障害と栄養状態の多施設実態調査

髙山仁子,西岡心大,岡本隆嗣,漆原真姫,桐谷裕美子,新谷恵子,中込弘美,肱岡 澄,渡邉美鈴,菅原英和,石川 誠,宮井一郎,園田 茂
Jpn J Compr Rehabil Sci 9: 11-21, 2018

【目的】回復期リハビリテーション病棟(回復期リハ病棟)における摂食嚥下障害を有する脳卒中患者の栄養状態と摂食嚥下訓練の現状を明らかにする.
【方法】回復期リハ病棟25病院にて,入棟時に摂食嚥下障害を有する脳卒中患者の摂食嚥下機能と栄養状態を後方視的に調査した.栄養状態はGeriatric Nutritional Risk Index(GNRI),摂食嚥下機能は藤島の嚥下グレード(嚥下Gr)で評価した.
【結果】解析対象者440名中,栄養障害(GNRI<92)は入院時63.4%に認められたが退院時は42.7%と有意に減少した(p<0.05).440名中,間接訓練は94.1%,直接訓練は80.9%に実施され,嚥下Gr中央値は入院時2から退院時7へ有意に改善した(p<0.05).53.4%は退院時に3食経口摂取となった.
【結論】多施設調査により,回復期リハ病棟における脳卒中摂食嚥下障害患者の経口摂取および栄養状態の転帰が明らかとなった.今後さらなる質の向上を目指す際のベンチマークとしての利用が期待される.

【キーワード】回復期リハビリテーション病棟,脳卒中,摂食嚥下障害,栄養状態,GNRI

第9巻 目次