出江紳一, 古澤義人, 番匠武蔵, 外村一志
Jpn J Compr Rehabil Sci 8: 88-97, 2017
【目的】患者安全文化とコミュニケーション・スキル(CS)との関係を明らかにすること.
【方法】大学病院においてコーチング理論に基づくCS研修を実施し,研修前後の患者安全文化の向上とCSの向上との関係を検討した.研修受講者は常勤職員57名で,各受講者が重要関係者約5名(協力者,合計285名)を選んだ.受講者は,7か月間の電話会議システムによるクラス授業を受けながら協力者にコーチング面談を実施した.協力者は当該受講者のCSと患者安全文化とを,質問紙により研修の前と後に評価した.
【結果】欠損値のあるものを除外し259名を解析した.患者安全文化向上群は非向上群よりもCSの「提案・要望」の向上度が高かった.また「提案・要望」スキルの向上は患者安全文化の「上司の安全に対する態度や行動」「過誤に対する非懲罰的対応」の向上と関係した.
【結論】患者安全文化の向上に,「提案・要望」スキルの向上が関係する可能性がある.
【キーワード】患者安全,コーチング,組織開発,大学病院,多職種連携