原著

プロセスモデルに基づき開発された咀嚼嚥下訓練用食品の有用性―摂食嚥下障害患者における検討―

柴田斉子, 加賀谷斉, 田中慎一郎, 藤井 航, 中川量晴, 松尾浩一郎, 安部和美, 石橋直人, 稲本陽子, 才藤栄一
Jpn J Compr Rehabil Sci 8: 82-87, 2017

【目的】咀嚼嚥下訓練用食品,chew-swallow managing food(CSM)の物性の妥当性と安全性を摂食嚥下障害患者において検証することを目的とした.
【方法】摂食嚥下障害と診断され,ペースト食の摂取が可能と判断された入院患者14名(平均年齢74歳)を対象とした.CSMとペーストそれぞれ4gを3回ずつ自由に嚥下させ,一口ごとの咀嚼回数,嚥下回数,嚥下反射開始時の食塊先端位置,口腔・咽頭残留の程度,喉頭侵入・誤嚥の有無を評価した.
【結果】CSMにおいて咀嚼回数の増加が有意であった.食塊先端位置はCSM,ペーストともに喉頭蓋谷に多く,喉頭侵入の頻度には差を認めなかった.残留はCSMで舌背に多く,ペーストで喉頭蓋谷に多く認めた.
【結論】摂食嚥下障害患者においてCSMは咀嚼を誘導するが,喉頭侵入の頻度はペーストと変わりなく,ペーストと同等の安全性で咀嚼嚥下を訓練できると判断できた.

【キーワード】プロセスモデル,咀嚼,嚥下,摂食嚥下障害,直接訓練

第8巻 目次