症例報告

回復期リハ病棟退院後,経鼻的持続陽圧呼吸療法導入にてADLがさらに改善した左大腿骨転子下骨折の一例

角田 浩, 山口倫生, 管原一禎, 久家直巳, 今井洋文, 力丸 暘, 横道弘直, 坂本 敬, 杉山 謙, 出江紳一, 本郷道夫
Jpn J Compr Rehabil Sci 8: 77-81, 2017

【目的】高齢者において睡眠障害はADLを低下させることが報告されている.日本には300万人を超える睡眠時無呼吸症候群患者がいると言われているが,未診断未治療の「潜在患者」が,多数存在している.さらに女性においては,閉経後に女性ホルモンの分泌低下により,閉経前に比し睡眠時無呼吸症候群の発症率が2〜4倍程度高くなるという報告がある.また,女性の睡眠時無呼吸症候群は男性の睡眠時無呼吸症候群と異なり,日中の眠気・いびきなどの典型的な症状を伴わない場合があり,男性に比べて検査を受ける契機に乏しい.この研究はCPAP(経鼻的持続陽圧呼吸療法)のADL改善効果について評価することを目的とした.
【方法】認知症,うつ病,狭心症の既往を持つ大腿骨転子下骨折術後廃用症候群の高齢女性患者を対象とした.一般的な治療に加え,CPAP治療を行った.
【結果】薬剤整理,全身状態の管理を行い,睡眠時無呼吸症候群の存在を診断し,回復期リハビリテーショ ン後,CPAPを導入することにより,さらにADLが改善した.
【結論】睡眠時無呼吸症候群合併の整形外科患者において一般的な全身状態管理に加え,CPAP治療を行うことにより,ADLが改善しうる.

【キーワード】回復期リハビリテーション,睡眠時無呼吸症候群,経鼻的持続陽圧呼吸療法,大腿骨転子下骨折,術後廃用症候群

第8巻 目次