短報

ヨード系造影剤を使用して作製した嚥下造影検査用炊飯米の電子顕微鏡による観察

小西 勝, 谷本啓二
Jpn J Compr Rehabil Sci 8: 66-70, 2017

【目的】ヨード系造影剤を使用して作製した嚥下造影検査用炊飯米について造影剤の分布状態を調べるために走査型電子顕微鏡(SEM)とX線写真で観察した. また,造影剤を混ぜることによる物性への影響を調べるために機器による計測を行った.
【方法】ヨード系と硫酸バリウム造影剤を使用して嚥下造影検査用の炊飯米を作製し,SEMとX線による撮影を行った.X線画像の濃淡はグレイスケールを用いて評価した.物性については硬さ,付着性,凝集性の測定を行った.測定値の比較にはKruskal-Wallis検定とSteel-Dwass法を用いた.
【結果】SEMによる観察では,バリウムは米の表面に付着しているだけであったが,ヨードは米の内部にも分布していた.X線画像ではバリウムは不均一であったが,ヨードは均一な造影性を示していた.X 線画像のグレイスケール値は, 各試料間で統計学的に有意な差(p<0.001)が認められた.物性に関しては,造影剤の有無による統計学的な差はみられなかった.
【結論】ヨード系造影剤で作製した炊飯米が良好なX線造影性を示すのは,造影剤が米表面だけでなく内部にも分布しているためであることがSEMによる観察によって確認された.

【キーワード】嚥下造影検査,米,造影剤

第8巻 目次