原著

ムース食が健常若年女性の食事摂取量と気分に与える影響

紺野晋吾, 石間恵美, 久保田俊輝, 村田眞由美, 河南典子, 若佐麻依子, 佐藤友則, 原木理沙, 奥山裕子, 西村三美, 清水史子, 山崎大治, 藤岡俊樹
Jpn J Compr Rehabil Sci 8: 56-65, 2017

ムース食の摂取が食事摂取量の低下や心理状態の変化の原因となるかを検証した.健常成人女性11人に通常食とムース食を割り付け,各食事を1日3食3日間連続摂取させた.摂取食物間で食事摂取量,食事の評価,食欲,特定の味覚への欲求,気分変動を比較した.通常食群はムース食群より食事摂取量が多く食事内容の評価も高かった.ムース食の摂取で気分の怒りと敵意が上昇,通常食の摂取で疲労と無気力が改善し摂取食物間で一過性に差を認めた(p=0.040, p= 0.041).また, 食事評価の味と食前の甘みへの欲求が食事摂取量に寄与したが(偏回帰係数0.798,p<0.001, 0.207, p=0.005).気分,食欲,特定の味覚への欲求は有意ではなかった.以上からムース食は食事摂取量の低下 と気分変動の一因となることが確認された.

【キーワード】嚥下障害,ムース食,食事摂取量,気分プロフール検査(POMS)

第8巻 目次