原著

Pediatric Evaluation of Disability Inventory(PEDI)の機能的スキル評価における健常児と脳性麻痺児の差異の検討

小野木啓子, 近藤和泉, 朝貝芳美, 才藤栄一
Jpn J Compr Rehabil Sci 8: 37-43, 2017

【目的】Pediatric Evaluation of Disability Inventory(PEDI)では健常児のデータを基に機能的スキルの尺度を設定している.本研究では,脳性麻痺児を対象としてオリジナルと同じ方法で解析を行い,各評価項目における両者の差異を検討した.
【方法】脳性麻痺児602名の障害の重症度をGMFCS(Gross Motor Function Classification System)によって群別し,Rasch分析にてPEDIの機能的スキルの尺度化スコアを算出した.
【結果】全脳性麻痺児とPEDIオリジナルデータの尺度化スコアの相関係数は,セルフケアr=0.890,移動r=0.795,社会的機能r=0.943であった.GMFCS群Iでは年齢とともに各スコアが上昇し,III,IV,V群では移動が4歳以上から6歳未満の年代でほぼプ ラトーに達していた.
【考察】機能的スキルの難易度においては移動に最も大きな差があり,脳性麻痺児の能力にあわせた機能的スキルの難易度設定が必要と考えられた.

【キーワード】脳性麻痺,Pediatric Evaluation of Disability Inventory(PEDI),機能的スキル,Rasch分析

第8巻 目次