原著

訪問リハビリテーションにおけるADLとQOLとの関係性と利用による変化〜多施設共同研究〜

小島一範, 中山 卓, 渡邊亜沙美, 吉村史郎, 山谷友範, 佐藤好美, 土居愛里, 荻野誉子, 森安典子, 渡邉 進
Jpn J Compr Rehabil Sci 8: 30-36, 2017

【目的】訪問リハにおけるADL遂行状況とQOLとの関係性を調べ,利用による経時的変化を確認することを目的とした.
【方法】対象は6施設における訪問リハの新規利用者とした.ADL遂行状況としてFIM運動項目を用いた.QOL評価として「感情的側面」を表すPGC-MSと「認知的側面」を表すADL満足度を用いて調査を行った.
【結果】初回評価と3か月評価との比較において発症から1年未満を除いた対象者に絞ると,ADL満足度は有意に向上した(p=0.008).またADL遂行状況とADL満足度との間に強い相関が見られた.一方,ADL遂行状況とPGC-MSとの相関は低い結果となった.
【結論】ADL遂行状況が変わらなくても訪問リハによる説明や働きかけにより現状に対する納得と受容がされたために,QOLの「認知的側面」を向上させたと考えられる.また3か月ではQOLの「感情的側面」に影響を及ぼしにくいこともわかった.

【キーワード】訪問リハビリテーション,QOL,ADL

第8巻 目次