原著

認知症患者のレクリエーション活動時における反応スケールの開発―検者間信頼性と基準関連妥当性に関する試行的検討―

神谷正樹, 近藤和泉, 大沢愛子
Jpn J Compr Rehabil Sci 8: 109-114, 2017

【目的】認知症にレクリエーション療法がよく行われるが,療法中の患者の反応を評価する指標は少なく,評価に難渋する.本研究の目的は,認知症高齢者の反応を評価できる観察指標を新たに作成し,その有用性を示すことである.
【方法】石原らの指標を改訂し,その検者間信頼性の検討を,認知症・老年科病棟に入院中の16名(平均年齢80.2±7.2歳,Mini-Mental State Examination(MMSE)の平均点18.3±7.9点)の患者に対して,2名が本指標にて評価を行い,kappa係数を算出した.基準関連妥当性の検討は,同条件の33名(平均年齢80.8±8.4歳,MMSEの平均点15.6±6.8点)の患者に対し,本指標とObserved Emotion Rating Scaleを評価し,Spearmanの順位相関係数を算出した.
【結果】検者間信頼性の検討は,kappa係数=0.57〜0.67であった.基準関連妥当性の検討は,相関係数=0.56〜0.86であった(p<0.001).
【結論】本研究における指標は,認知症患者に対して使用する際,検者間信頼性および基準関連妥当性は臨床で使用可能なレベルであった.

【キーワード】認知症,観察評価,反応,信頼性,妥当性

第8巻 目次