河野裕治, 青柳陽一郎, 粥川知子, 森 悦子, 石川綾子, 八谷カナン, 溝越恵里子, 井澤英夫, 才藤栄一
Jpn J Compr Rehabil Sci 8: 104-108, 2017
【目的】平成26年度の診療報酬改定でADL維持向上等体制加算が新設された.本研究では,入院日数やADLに対するADL維持向上等体制加算の効果を検証した.
【方法】研究デザインは後向き調査研究とした.対象はADL維持向上等体制加算開始後1年間に循環器内科病棟に入院した患者のうち,リハビリテーション(リハ)科依頼があったものをADL加算群とした.対照群はADL維持向上等体制加算開始前1年間に循環器内科よりリハ科依頼があったものとした.評価項目は年齢,リハ開始までの日数,リハ実施日数,入院日数,退院時Functional Independence Measure(FIM)とした.
【結果】ADL加算群は147例(女性101例,平均年齢82±10歳),対照群は102例(女性54例,平均年齢82歳±10歳)であった.ADL加算群でリハ開始までの日数,リハ実施日数,入院日数に有意な減少を認めたが,退院時FIMには差を認めなかった.
【結論】ADL維持向上等体制加算導入により,早期からのリハ開始が可能となり,退院時ADLは維持された状態で,リハ実施期間や入院日数が減少した.
【キーワード】急性期リハビリテーション,ADL維持向上等体制加算,入院日数