原著

回復期リハビリテーション病棟入棟早期の患者転倒に関与する因子の検討

寺西利生, 近藤和泉, 奥山夕子, 谷野元一, 宮坂裕之, 園田 茂
Jpn J Compr Rehabil Sci 8: 10-15, 2017

【目的】回復期リハビリテーション病棟入棟後早期の転倒発生に影響を及ぼす因子を検討することである.
【方法】入棟者545名を対象とし,入棟後14日以内転倒群と非転倒群とに分け,2 群間でThe Standing test for Imbalance and DisEquilibrium (SIDE)level, Functional Independence Measure(FIM)下位項目の差を検討した.さらに,転倒群と非転倒群の間に差のあった項目を従属変数とし転倒有無を目的変数としたロジ スティック回帰分析を行いオッズ比を算出した.
【結果】対象のうち,転倒群は36名であった.群間で統計学的に有意差のあった項目は,SIDE level,更衣下半身,浴槽移乗,階段,社会的交流,問題解決,記憶であった.ロジスティック回帰分析は,問題解決のみがオッズ比0.288(p=0.035)で転倒有無に影響していた.なお,SIDE levelは,2b以上で非転倒者を完全に分離できた.
【結論】入棟後早期の転倒は,バランス良好者では発生せず,FIMでは問題解決が関与していた.

【キーワード】回復期リハビリテーション病棟,転倒,関与因子

第8巻 目次