大宮嘉恵, 鈴村彰太, 伊藤直樹, 大沢愛子, 舘野理恵, 水野亜紀, 近藤和泉
Jpn J Compr Rehabil Sci 7: 95-101, 2016
【目的】回復期リハビリテーション病棟にて,退院前家屋訪問を実施した患者に対し,退院後のADL能力や主観的な遂行度・満足度の変化について,検討した.
【方法】患者10名を対象とし,退院から約3か月後に自宅訪問を行った.退院後の訪問では,退院前に実施された住環境整備場所を確認し,ADL能力はFIMを,作業の遂行度・満足度はCOPMを用いて評価した.
【結果】患者は,住環境整備率が高い場所で行うADLを重要な課題と評価する傾向にあった.退院前と退院後訪問時の比較では,遂行度の平均スコアは
5.5点から7.3点へ,満足度の平均スコアは5.3点から7.4点へ向上し,どちらも有意差が認められ,ADLもおおむね維持されていた.
【結論】自宅退院をする際には,自宅内の動線や外出方法,トイレ,浴室の環境に着目することが重要であり,住環境整備は,患者によって選好された課題に対する主観的な遂行度・満足度に,有益な影響を与える可能性が示唆された.
【キーワード】住環境整備,退院前訪問,退院後訪問,FIM,COPM