原著

脳卒中および頭部外傷患者の日常生活における高次脳機能障害評価法の開発と妥当性の検討

宮坂裕之, 成田 渉, 中川裕規, 金森理恵子, 大下真紀, 川上さつき, 下村康氏, 近藤和泉, 園田 茂
Jpn J Compr Rehabil Sci 7: 61-72, 2016

【目的】本研究では,nominal group technique(NGT)を用いて,あらゆる場面で高次脳機能を評価できるCognition-oriented Performance Evaluation (COPE)を開発し,妥当性を検討した.
【方法】当院職員9名が参加し,以下の手順により妥当性を検討した.1)高次脳機能障害の症状の有無を尋ねる設問の列挙,2)設問内容を4段階に評点させ,追加すべき設問を記載,3)設問の採用/不採用をNGTを用いて決定,4)追加された設問についても評点し,採用/不採用を検討.その後,高次脳機能障害患者20名を対象に,COPE各領域とFIM社会的認知項目との相関を検討した.
【結果と考察】NGT前の設問の列挙では126問が提示され,1 回目の検討では12項目が,2回目は3項目が不採用となった.2 回目の検討後,意見の調整を行い,最終的に96項目となった.相関分析では,記憶や問題解決など関連すべき項目で有意な相関が得られた.consensus method のような質的研究と他の評価尺度と相関を得る作業により,COPEの妥当性を確認することができた.

【キーワード】脳血管疾患,高次脳機能障害,ADL(Activities of daily living),評価,妥当性

第7巻 目次