鈴村彰太, 大沢愛子, 長濱大志, 近藤和泉, 佐野佑子, 神鳥明彦
Jpn J Compr Rehabil Sci 7: 19-28, 2016
【目的】手指の巧緻性低下は,日常生活を送る上で障害となる.磁気式指タッピング装置(UB-1)を用いて,軽度認知機能障害者(MCI)及びAlzheimer病(AD)患者と健常な高齢者間の手指の巧緻性について検討を行った.
【方法】当院にてADないしMCIと診断された患者(AD/MCI群)23例とその家族(健常群)22例を対象に指タッピング運動を実施し,計測項目を算出した.認知機能評価としては,Mini-Mental State Examination(MMSE)を実施し,手指機能とMMSEとの関連について検討した.また,年齢調整を行ったAD/MCI群14例と健常群13例について計測項目を比較した.
【結果】5項目の計測項目において,MMSEとの相関を認めた(r ≧ 0.6).また,AD/MCI群は健常群に比べて,総移動距離が短く,リズムのばらつきを認めた(p < 0.05).
【考察】本研究では,AD/MCI群において手指巧緻性の低下を認め,認知機能の低下とも関連していた.手指巧緻性の評価は認知機能の一つの指標となる可能性がある.
【キーワード】アルツハイマー病,手指機能,巧緻性,指タップ