原著

中大脳動脈梗塞患者のADL帰結予後に対する身体機能障害および画像所見の寄与

松尾 宏, 園田 茂, 前島伸一郎, 渡邉 誠, 佐々木祥, 奥山夕子, 岡﨑英人, 岡本さやか, 近藤和泉
Jpn J Compr Rehabil Sci 7: 119-129, 2016

【目的】脳梗塞のADL帰結の予測精度が向上すれば効率的なリハビリテーションが実現できる.身体機能障害および画像所見がそれに寄与するかを初発かつ片側の中大脳動脈梗塞患者で検討した.
【方法】回復期病棟に入院しMRI拡散強調画像が得られた患者331名を対象にした.入院時FIM運動項目(FIM-M)合計点とFIM認知項目合計点,年齢,入院までの期間,SIAS(運動機能,体幹機能,半側空間無視,下肢位置覚),病型,病巣を独立変数とし,退院時FIM-M合計点とFIM-M利得を従属変数とした.重回帰分析とロジスティック回帰分析,決定木分析を行った.さらに,患者の層別化と独立変数の加除を行い,有意に寄与する変数を検討した.
【結果】入院時低FIM-M合計点群においてFIM-M利得を予測する場合には体幹機能と病巣が予測精度の向上に寄与した.
【結論】層別化された初発かつ片側の中大脳動脈脳梗塞患者の退院時ADL予測に,入院時ADL以外に身体機能や画像所見を加えることは有用と考えた.

【キーワード】機能予後,FIM,ADL,脳病巣,脳血管障害

第7巻 目次