総説

間欠的経口経管栄養法(IOC)の歴史・適応・手順と効用

木佐俊郎,酒井康生,蓼沼 拓,馬庭壯吉
Jpn J Compr Rehabil Sci 6: 91-104, 2015

間欠的経管栄養法(IC)は,摂食・嚥下障害患者に対して,カテーテルを口または鼻から挿入し飲みこむ嚥下訓練と栄養補給を兼ねた方法で,日本で発展してきた.このうち口からカテーテルを食道下部または胃に 挿入し栄養剤を注入する手技を間欠的経口経管栄養法 (IOC)と呼ぶ.カテーテルの経口挿入は,摂食嚥下 障害を呈する脳疾患のほとんどにおいて咽頭反射が減弱するので,容易である.IC の適応は摂食嚥下障害を有するが,誤挿入の兆候を訴えることができるかまたは他覚的に判る症例(認知症等の有無は問わない)である.IOCの摂食・嚥下障害に対する効果は,口腔・頭頸部癌,神経筋疾患や脳卒中の急性期・回復期・維持期の症例に至るまで確認されている.IOCを適用した脳卒中例では,胃瘻や持続的経鼻胃経管栄養法(CNG)での管理例に比べ3食経口摂取獲得率が高い.CNGで看護した場合に比べ監視・抑制時間が少なくてすみ,胃瘻より胃排出能が良好である.胃瘻の適応は,IOCが適用できない場合やIOCを回復期に施行したが少量の経口に留まり長期間の代替栄養を要す場合と考えられている.

【キーワード】間欠的経口経管栄養法(IOC),摂食・嚥下障害,胃瘻,持続的経鼻胃経管栄養

第6巻 目次