原著

ラット骨格筋に対する高頻度反復末梢性磁気刺激の安全性の検討―筋組織学的検査と血液生化学検査を用いた検討―

鈴木啓太, 平岡 崇, 椿原彰夫, 伊藤智崇, 出江紳一, 八島建樹, 岩知道伸久
Jpn J Compr Rehabil Sci 6: 56-63, 2015

【目的】骨格筋に対する高頻度反復末梢性磁気刺激 (以下,rpMS)の安全性を筋組織学的検査と血液生化学検査を用いて検討すること.
【方法】Wistar系雄ラット20匹をrpMSを施行するrpMS群と施行しないコントロール群(以下,CON群)に分けた.筋組織学的検査にはhematoxylin and eosin 染色,modified Gomori trichrome 染色,NADH-tetrazolium reductase 染色,acid phosphatase 染色,Periodic acid-Stiff (以下,PAS)染色を用いた.血液生化学検査ではクレアチンキナーゼ,アルドラーゼ,乳酸脱水素酵素(以下,LDH)を測定した.追加実験として,rpMS終了4時間後と12時間後の時点でそれぞれ2匹のラットについて筋組織学的検査を実施した.
【結果】rpMS群のPAS染色において,グリコーゲンの枯渇を示す組織像が観察されたが,rpMS4時間後のラットでは観察されなかった.rpMS群ではLDH がCON群より有意に低下していた.その他の染色法と血清酵素値においては特徴的な所見や有意な変化は認められなかった.
【結語】今回の結果から筋損傷の存在は示されず,骨格筋に対するrpMSの安全性が実証された.

【キーワード】磁気刺激,骨格筋,安全性,筋組織学的検査,血液生化学検査

第6巻 目次