原著

フェノール運動点ブロックの治療効果に影響する患者因子の検討―足関節底屈トルクを用いて

前田寛文, 園田 茂, 富田 豊, 水野志保, 武田湖太郎, 宮坂裕之, 谷野元一, Orand Abbas, 大野健介
Jpn J Compr Rehabil Sci 6: 118-123, 2015

【目的】下肢痙縮患者に対するフェノール運動点ブロックの治療効果を,足関節底屈トルク測定で定量評価し,治療効果に影響を及ぼす患者因子を検討した.
【方法】脳血管障害による下肢痙縮患者12名を対象とした.下腿屈筋群へのフェノール運動点ブロックの治療前後に,5度/秒と90 度/秒の角速度での足関節他動背屈時の底屈トルクを測定した.治療前後のトルク値変化を効果指標として,治療効果へ影響を及ぼす患者因子について検討した.
【結果】治療効果は,治療前の5 度/秒での底屈トルク値(ρ=−0.741,p= 0.006),発症からの日数(ρ=−0.680,p=0.015)と有意に負の相関を示し,自主訓練の実施(ρ=0.661,p=0.019)と有意な正の相関を示した.
【結論】下肢痙縮患者に対するフェノール運動点ブロック治療では,5度/秒での底屈トルク値が小さい,または自主訓練を実施していて不動の影響が少ない患者において治療効果が期待できる.

【キーワード】痙縮,底屈トルク,定量評価,フェノール運動点ブロック,不動

第6巻 目次