原著

経管栄養の方法が脳卒中嚥下障害患者の経口摂取確立に及ぼす影響:間欠的経管栄養法と経鼻胃経管栄養法の比較

菅原英和, 石川 誠, 高山仁子, 岡本隆嗣, 園田 茂, 宮井一郎, 藤谷順子, 椿原彰夫
Jpn J Compr Rehabil Sci 6: 1-5, 2015

【目的】脳血管障害による嚥下障害のリハビリテーション(以下,リハ)の過程で行う経管栄養の管理を,経鼻胃経管栄養法(naso-gastric tube feeding,以下NG) で行うか,あるいは間欠的経管栄養法(Intermittent tube feeding,以下ITF)で行うかで,経口摂取の転帰に差が出るのかを比較検討した.
【方法】脳血管障害で回復期リハ病棟に入棟した嚥下障害患者を,経鼻胃経管栄養法が施行された398例 (NG 群)と間欠的経管栄養法が施行された114例(ITF 群)に分け,摂食嚥下のアウトカムについて比較検討した.
【結果】退院時に3食経口摂取のみで栄養摂取可能となった割合はNG 群53%に対してITF群は71%と高く(p=0.0007),入院中にFood Intake LEVEL Scale(FILS)が改善した割合もITF 群の方が高かった(p=0.007).また,入棟から直接訓練開始までの平均日数は,NG 群19.1±25.8日,ITF 群9.6±13.9日 で,ITF 群の方が短く(p=0.001),入棟から食事経口摂取開始までの平均日数もNG群27.3±31.8日, ITF 群20.1±26.4日で,ITF 群の方が短かった(p= 0.049).
【結論】ITFでの経管栄養管理はNGに比べて,摂食嚥下リハのアウトカムに好影響を与える可能性が示唆された.

【キーワード】間欠的経管栄養法,経鼻胃経管栄養法,回復期リハ病棟,摂食嚥下リハビリテーション,脳血管障害

第6巻 目次