原著

高次脳機能障害支援経過手帳の妥当性

園田 茂, 白山靖彦, 田辺佐知子, 下村康氏, 鈴木 真
Jpn J Compr Rehabil Sci 5: 93-96, 2014

【目的】専門職種以外に理解されにくい高次脳機能障害の状況を伝えやすくするために作成した高次脳機能障害支援経過手帳の有用性を,手帳使用,不使用の際のインテークに要する時間の違いから検証する.
【方法】高次脳機能障害患者が新たな病院・施設に行った際のインテーク時間を34名の手帳持参群と32名を手帳なし群とで比較し,インテーク時の家族・支援コーディネーターの印象をvisual analogue scale で評価した.
【結果】手帳持参群の平均所要時間は平均32.4±10.7分,手帳なし群は平均57.2±28.9分と有意な差(p<0.0001)を認めた.説明時間の長さは短縮したと感じ,わかりやすいと感じていた.その傾向は支援コーディネーターより家族のほうに強かった.
【結論】高次脳機能障害支援経過手帳は新たな病院等に行く際のインテーク時間を減少させ,説明の負担感を減らすため,その使用は有用と考えられた.

【キーワード】高次脳機能障害,外傷性脳損傷,脳血管障害,代償手段,手帳

第5巻 目次