原著

プロセスモデルに基づき開発された咀嚼嚥下訓練用食品の有用性−施設入居高齢者における予備的検討−

中川量晴, 松尾浩一郎, 柴田斉子, 稲本陽子, 伊藤友倫子, 安部和美, 石橋直人, 藤井 航, 才藤栄一
Jpn J Compr Rehabil Sci 5: 72-78, 2014

【目的】今回われわれは咀嚼嚥下訓練用食品として開発したchew swallow managing food(CSM)の物性の妥当性と安全性を確かめることを目的に検討を行った.
【方法】常食摂取している施設入居高齢者23名(平均年齢82.8±8.6 歳)を対象とした.CSM とペースト食それぞれ4g を3回ずつ摂取し,一口ごとの咀嚼および嚥下回数と嚥下直前の食塊先端位置,口腔と咽頭での嚥下後の残留の程度と誤嚥の有無を評価し, CSM とペースト間での差異を検討した.
【結果】CSM において,咀嚼回数,嚥下回数ともに有意に増加し,また食塊先端は有意に咽頭遠位まで送り込まれていた.残留と誤嚥については,CSM とペー ストとの間に有意差を認めなかった.
【結論】本結果より,CSM は咀嚼を要する食形態を有し,かつ嚥下時にはペーストと同等の性状になる可能性が示された.今後,嚥下障害者に対する咀嚼嚥下訓練用食品としての有用性を検証していく予定である.

【キーワード】プロセスモデル,咀嚼,嚥下,摂食嚥下障害,直接訓練

第5巻 目次