原著

足関節硬さ測定装置の開発および生体力学モデルによる関節粘弾性と筋収縮要素の推定

富田 豊, 谷野元一, 水野志保, 前田寛文, 宮坂裕之, Orand Abbas, 武田湖太郎, 園田 茂
Jpn J Compr Rehabil Sci 5: 147-155, 2014

【目的】痙縮や拘縮などの評価のために足関節の硬さを測定する装置を製作し,その特性を検証する.健常者および片麻痺患者各1 名で装置の動作を確認する. さらに,関節の粘弾性および筋の収縮要素のモデルを想定して,それらの底屈トルクへの寄与を求める.
【方法】短下肢装具にモータとピニオンラック,ポテンショメータ,トルクセンサを取りつけ,足関節を定 速で背屈させ,そのときの底屈トルクを測定できる装具を製作した.被験者はいす座位にて膝関節屈曲位および伸展位で開発した装具を取りつけ,他動的に背屈させた.同時に前脛骨筋と腓腹筋の筋電図を計測した. 底屈トルクへの粘弾性および筋収縮成分の寄与をシステム同定手法によって求めた.
【結果】装置の動作特性を測定し,本研究で要求される精度を満足することを確認した.健常者,患者ともに膝関節屈曲位より膝関節伸展位の方が底屈トルクは大きいことを確認した.また,患者の方が,底屈トルクが大きいことを確認した.
【結論】足関節の痙縮を評価するために,関節硬さ測定装置を開発し,健常者および片麻痺患者においてその機能が十分であることを確認した.さらに,粘弾性による底屈トルクと筋収縮による底屈トルクを推定した.

【キーワード】関節硬さ,定量化,粘弾性,筋電図,痙縮

第5巻 目次