原著

回復期脳卒中患者における睡眠障害と主観的回復感との関連

小枝周平, 澄川幸志, 小池祐士, 佐藤ちひろ, 今井寛人, 長内愛莉, 清水寛己, 武藤祐子, 針替明世, 水梨昭宏, 小山内隆生
Jpn J Compr Rehabil Sci 5: 125-130, 2014

【目的】脳卒中患者の睡眠障害は高頻度に発生し,リハビリテーションの進行を妨げる.本研究は,患者自身が感じる脳卒中による障害の改善に関する認識である主観的回復感と睡眠障害との関係を明らかにすることにより,睡眠障害の予防・治療のための方法について検討した.
【方法】回復期病棟で加療中の42名の脳卒中患者を対象に,主観的回復感のVisual Analog Scale(VAS)および睡眠障害の評価としてThe Pittsburgh Sleep Quality Index(PSQI)の調査を実施した.
【結果】主観的回復感のVASとPSQI には有意な負の相関が認められ,主観的回復感のVAS値の低い者(35%未満)は,高い者(35%以上)に比べて睡眠障害の重症度が高かった.また,主観的回復感は運動麻痺やActivities of Daily Living (ADL)能力と有意な正の相関が認められたが,PSQI得点はこれらと相関は認められなかった
【結論】主観的回復感のVAS 値が35%未満の者は, 運動麻痺やADL能力の低下から生じる主観的回復感の低下によって睡眠状態の悪化を引き起こしたと推察され,主観的回復感の評価を行うことが対象者の睡眠 障害を予測するために有効である可能性が示唆された.

【キーワード】脳卒中,睡眠障害,主観的回復感,リハビリテーション

第5巻 目次