原著

回復期脳卒中麻痺側上肢に対する訓練方法選択の検討:決定木による解析

宮坂裕之, 大西 斉, 稗田千影, 川上健司, 谷野元一, 奥山夕子, 富田 豊, 園田 茂
Jpn J Compr Rehabil Sci 5: 117-124, 2014

【目的】本研究では,訓練方法による麻痺改善効果の違いを検討することを目的とした.
【方法】当院回復期リハビリ病棟に入院した初発脳卒中患者131名を対象とし,麻痺側上肢に,ミラーセラピー(MT),随意運動介助型電気刺激(IVES),治療的電気刺激(TES),促通反復療法,通常訓練の五つの異なる訓練方法をランダムに割り付け,1 日20分, 4 週間の介入を行った.患者に合った訓練方法を検討するために,4 週後のFMA上肢運動項目合計点を目的変数とし,年齢,発症後期間,訓練方法,入院時の上肢機能評価項目を説明変数とし決定木分析を行った.
【結果】FMA手指<3点で,かつFMA肩・肘<3点では,MT,TES,促通反復療法が選択された.また,FMA手指≧8 点で,かつFMA手関節<8点では,通常訓練以外の訓練方法が選択された.
【結論】回復期段階の脳卒中患者のリハビリ方法決定の一助として今回の決定木の論理を利用しうると考えられる.

【キーワード】脳卒中,麻痺側上肢訓練,決定木分析

第5巻 目次