原著

ギプス固定による筋の不動と運動による肝細胞増殖因子の筋肉中と血漿中の変動について

岡崎英人, 別府秀彦, 水谷兼明, 園田 茂
Jpn J Compr Rehabil Sci 4: 84-87, 2013

【目的】肝細胞増殖因子(HGF)は筋細胞の増殖に関わる因子であるが,筋肉内の変動と血液中の変動の関係は不明である.今回下肢萎縮ラットを用いて運動が筋肉中と血液中のHGFにどう影響するのかを検討した.
【方法】30 匹の雌のSprague-Dawleyラットを用いた.15 匹は14日間の左下肢ギプス固定を行い(CAS)もう15 匹はコントロール(CNT)として通常活動させた.ギプス除去後,訓練前群(PE),7日間通常活 動を行う群(NA)と20 度傾斜トレッドミル運動 15 m/minを1日30分7日間行う群(TR)とに分けた. CNTも同様に3群に分けた.それぞれの群の体重あ たりの左ヒラメ筋重量,血漿HGF,左ヒラメ筋HGFを測定し,多重比較で差を検討した.
【結果】筋重量ではCAS-PE が全てのCNTより有意に低く,筋肉中のHGFレベルではCAS-TRがCASPEとCAS-NA より有意に高値を示した.血漿中の HGFレベルでは有意差を認めなかった.
【結語】筋肉中のHGFは相対的に強度の強い運動負荷で発現しその動態は筋肉中に限定される.

【キーワード】萎縮,運動負荷,肝細胞増殖因子

第4巻 目次